SHONAN TRAINING DEPT. MAGAZINE

エクササイズの正しいフォームは人によって変わる!?

トレーニングの効果をしっかり出すため、トレーニングで怪我をしないためによく言われることが、

エクササイズを正しいフォームで実施することが大事!

と言うことです。

トレーニングを教えている専門家なら誰しもがそう言うはずです。
フォームなんか悪くても別にいいよ。なんていう専門家はいないはずです。

もちろん、私もそう思っていますし、
これまでも散々フォームの正しさの重要性を説いてきました。

正しいとされるエクササイズのフォームってどんなものでしょうか?

簡単に説明するのであれば基本的に以下の2つを満たしているものだと考えられます。

①目的としている筋群や能力に対してアプローチできているもの。
②どこかの部位に予期していない大きな負担がかかっていないもの。

これらが満たされていれば正しいフォームと言えそうですし、逆に満たされていなければ悪いフォームとなりそうです。

スクワットやデッドリフト、ベンチプレスなど大体のエクササイズには教科書的な正しいとされるフォームが存在します。

足幅や手幅はこうで、胸を張り、腰は丸くならずに.....、上体の角度はウンタラカンタラ...
という感じです。

こういった教科書的な正しいとされるフォームは様々な専門書などで大体似たような感じで掲載されているはずです。
細かい箇所は少々違うことが書かれている可能性もあるかもしれませんが、大きな違いはないはずです。

しかし、そのような教科書的な正しいとされるフォームが万人に当てはめることができるかというと...

できません。

これがトレーニングの難しいところなんです。

正しいフォームでエクササイズをすることはとても重要です。
これは間違いありません。

しかし、その"正しい"は人によって微妙に変わります
教科書的なフォームが正解な人もいれば、正解ではない人もいます。

どういうことでしょうか?

当たり前ですが、人の身体はそれぞれ違います。

身長の高い人、低い人。
手足の長い人、短い人。
胴体の長い人、短い人。
〇〇が硬い人、柔らかい人。
〇〇が強い人、弱い人。

以上にあげた例は本当に大雑把な表現ですが、細かくみるともっと人それぞれ色んな特徴があります。

そんな色んな身体的特徴をもった人たちを全て教科書的な正しいフォームに当てはめることはできないということです。

教科書的な正しいフォームを難なく習得できる人もいれば、かなり苦労する人もいれば、現実的に習得できない人もいます。

スクワットという一つのエクササイズでも、しゃがんで立つという動作で見れば同じですが細く見てみるとその人にとっての最適解は微妙に違うものになります。

なのでトレーニングにおいて重要なこととして、

エクササイズは正しいフォームで実施する必要がある。
だけど、正しいフォームというのは人によって若干変わる。


ということを理解する必要があります。

これ意外と、教える立場にいる人でもできていない人結構いるイメージです。

その人の特徴をしっかり把握せずに、無理やり教科書的な正しいフォームを当てはめようとする人。

トレーナー:正しいフォームはこうなんでこうやってください。
お客さん:こうですか?
トレーナー:違います。こうです。
お客さん:こうですか?
トレーナー:........(え、なんでできないんだろ...)

これはお客さんにとって地獄です。

トレーニングを教えるには正しいフォームを知っているだけでは不十分です。

正しいとされるフォームはもちろん頭に入れておきながらも、そのお客さんの特徴を把握し、目的や重要度などから最適なフォームを導いていく必要があります。

基本的にエクササイズで修正したい場合、二つの分類に分けることができます。

①一刻も早く直しておきたいエラー(怪我に直結する可能性の高いエラー)
②修正できた方がより良い効果が出そうだが、修正できなくても怪我などに繋がる可能性は少ないエラー

このうち、①はその人の身体的特徴や目的がどうあれ絶対に修正しておきたいものです。
もし修正するのが困難な場合、そのエクササイズはそもそもするべきではありません。

判断が難しいのは②の場合です。
②に対しては次の選択肢があります。

・妥協点を探す
・頑張って修正する

どちらを選ぶかは、人や状況によって変えます。

例えば、そのエラーが修正は可能だが、結構頑張ってもらわないと修正できないある程度苦労するようなエラーの場合。

対象が一般の方で、目的がフィットネスで週に1,2回の頻度でトレーニングしているような方の場合であれば妥協点を探します。
この場合、怪我につながるようなエラーでもないので、無理に苦痛を伴わせて修正するよりも教科書的な正しいとされるフォームから少しずれているかもしれないけど、その人の目的や状況から、そのフォームが最適解だと判断します。

一方、対象がトレーニング頻度も十分なアスリートで、そのエラーがパフォーマンスにつながる可能性をひめているものである場合であれば、頑張って修正するという選択肢をとります。

このように、正しいフォームを習得する際

どのような人でも目的でも、①の場合は確実に修正する必要があります。
②の場合はケースバイケースです。
例えですが、90点くらいのフォームをする必要がある人や状況もあれば、70点くらいを下回らなければOKな場合もあります。

それだけの時間や労力をかけてまで修正する価値があるものなのかどうか。
そもそも、修正できるものなのかどうか。

それらをすっ飛ばして、どんな人でもどんな状況でも、ただただ正しいとされるフォームに当てはめようとする行為は絶対に避けなければいけません。

できないものはできません。

それを無理やり当てはめようとしてしまうと、逆に怪我をしてしまったり、苦痛すぎてトレーニングが嫌いになってしまうなどお客さん側に多大な迷惑をかけてしまいます。

一般的な正しさだけに囚われずに、その人にとっての最適解は何かを考えられてこそ教える立場にあると思います。
その最適解とは、その人や目的・状況にとっての最適なフォームを探す場合もあれば違うエクササイズで代用する場合もあります。

トレーニングをこれから始める方も、もうすでに始めているけどフォームで悩んでいる方も、

正しいフォームは大事だけど、その正しさは人によって変わる

ということを覚えておいて下さい。

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