SHONAN TRAINING DEPT. MAGAZINE

「筋肉つけたら身体が重くなった。」って本当?

未だに筋トレ・ウェイトトレーニングに対する否定的な意見の一つである、筋肉がつくと身体が重くなってしまうというもの。

ウェイトトレーニングをすることで本当にそういう事が起こり得るのかと問われれば、やり方によってはそういうこともあり得ると答えざるを得ません。

どのような競技をやっているかにもよるところはあると思いますが、多くのアスリートがボディビルのような筋肉の大きさや形、身体の見た目の部分を競うことはないため、筋肥大を主な目的にすることはありません。

筋肥大は目的ではなく、過程であることが多いです。

ただ、ウェイトトレーニングを何の為にやるのか?という部分をはき違えてしまい、筋肉を大きくする事を目的にトレーニングをしてしまったり、本来の自分の目的や課題からずれたトレーニング方法を選択してしまうと、思ったようなパフォーマンスを発揮出来ないどころか逆にパフォーマンスが下がり、まさに身体が重いというような感覚を味わう事になる可能性はあります。

だからこそ、一口にウェイトトレーニングや筋トレと言ってもやり方は本当に様々であり、違いがあるという事を認識する事がウェイトトレーニングを導入するうえで大前提となります。

ウェイトトレーニングをする事自体が目的になってはいけないのです。

というわけで、ウェイトトレーニングをすることで身体が重くなるかならないかの議論に対する答えは、
A.やり方による!
という答えで解決するわけなのですが、ただ一つ疑問が残ります。

この議論でいうところの身体が重いというのは、大きく発達した筋肉が単純に重い、または相対的なパワー発揮が小さく、筋トレを頑張ったにもかかわらず走るのが遅くなったり、素早い方向転換が出来なくなったり、ジャンプ力が落ちたりというような実際の競技の動きにポジティブな変化を起こしていないというニュアンスだと捉えています。
発達した筋肉が悪者というニュアンス。使えない筋肉とでもいいましょうか。

そこで疑問なのですが、
そもそも多忙なアスリートが、そんな身体が重くなるくらい筋肥大し筋肉量が増えるほどウェイトトレーニングできるのか?
そんな時間とれるのか?
というものです。

ウェイトトレーニングだけをしているのならまだしも競技練習を実施する事で、当たり前ですが疲労回復等の理由や単純に時間的な理由でウェイトトレーニングの時間は限られています。

ほぼ毎日のように練習があり、毎週末試合があったりするアスリートが身体を重く感じさせる程の筋肥大がおこるだけのトレーニングをすることはそもそも可能なのか?とふと感じたわけです。

しかも筋肥大のトレーニングプログラムは基本的に高回数・高ボリュームで身体的にも精神的にも負担が大きく、時間もかかります。
そして、当然の事ながらそんな短期間では変化はでてきません。
身体が重く感じるという感覚が起こるまでとあれば尚更でしょう。
ある程度の期間、しかもそれなりの頻度で続ける必要があります。
短いオフシーズンだけでは大した筋肥大なんて起こりません。

そう考えると、身体が重く感じる程筋肥大の起こるトレーニングを実施する事は、競技練習や試合をやりながらはでは基本的に考えにくいなと....

ただアスリートの中には怪物みたいな(褒め言葉)人もいて内分泌系が優れているため他の人と比べて筋肉がつきやすかったり、異常なくらい回復能力が高かったり....色んな例外はあるのかもしれませんが、一般的ではないですよね。

じゃあ、何が原因で身体が重く感じてしまっているのかと考えると、

一つは単純に疲労が関係しているのではないかと思います。
もしくは、仮に本当にそれだけの期間や時間や労力をかけての筋肥大メインのトレーニングをしたのであれば、おそらく他の技術練習などに費やしていた時間を割く必要があるはずです。
そうであるとするのならば、確かに間違ったトレーニング方法だったという可能性もありますが、ただ単に他の技術や体力要素が落ちてしまったという可能性も考えられる事にもなります。

競技の練習だけではなく、ウェイトトレーニングが加わった事で回復が遅れたり、疲労が思ったよりも蓄積していたり、それこそ筋肉痛が残った状態での練習や試合は万全なコンディションとは言えません。
また、トレーニングに時間をとられることでもし睡眠時間が減るようなことがあれば、それもパフォーマンスを低下させる原因にもなり得ます。

今回は完全に私の主観によるものですが、
ウェイトトレーニングをすると身体が重くなるという感覚の原因は、筋肉が大きくなる事が原因ではなくて疲労の蓄積や回復の遅れ、技術面や他の体力要素の衰えが絡んで起きたことなのかもしれません。

ウェイトトレーニングをした事で、身体が重くなったという点で捉えれば同じですが、原因が
・筋肥大が起こり、重く感じた
のと
・疲労が蓄積していたから重く感じた
のと
・他の体力要素が衰えたから重く感じた
では話が全く違ってきます。
つまり対処法も変わります。


ウェイトトレーニングをしたこともないのにネガティブな意見を言うことは論外ですが、実体験の上でポジティブな変化を感じとれなかった場合も今一度何が原因でそうなったのか洗い直してみるといいかもしれません。

先程も言ったようにトレーニングは本当に様々です。
その人にとって合うやり方もあれば、合わないやり方もあるはずです。

そして、考えなければいけないのは方法論の前にトレーニングと回復等のバランスかもしれません。
筋肥大だけでは確かにパフォーマンス向上は難しいかもしれませんが、そもそもそれ以前の話かもしれない可能性は高いと感じています。

筋肥大トレーニングをしている過程の疲労で身体が重く感じるならまだしも、スーパーサイヤ人2になる前のトランクスみたいに筋肥大の結果で重く感じるってどれほど実際に起こり得ているのでしょうか?

少なくとも、ウェイトトレーニングのネガティブな意見の代表となるくらい頻繁に起こっている事ではないような気がしています。

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