SHONAN TRAINING DEPT. MAGAZINE
トレーニングにおける「Design 」再考
石川俊祐著
「HELLO,DESIGN 日本人とデザイン」
IDEO Tokyoの立ち上げに従事し、Design Directorとして活躍する石川俊祐さんの書籍ですが、私はこの方のことを詳しく知っているわけでも以前から注目していたわけでもありません。。。
なんとなく派手な黄色の本にひかれて読んでみただけだったのですが、結果としてとても勉強になりました。
石川さんは、デザインとはセンスがいい事やおしゃれな事を表す言葉ではなく、
課題の発見とその解決のことだと言っています。
日本ではデザインと聞くと、名詞として捉えがちで、そのため色やカタチをイメージする人が多いかもしれませんが、デザインを動詞として捉えると「設計する・企てる」といった意味があり、もともと「アイデアを考える」というニュアンスがあると言います。
そう捉えると、デザインという言葉は一部のクリエイティブな業種の人だけのものではなく、課題を解決しようとする全てのビジネスパーソンのものだというわけです。
これは、パーソナルトレーナーやS&Cコーチとしてトレーニング指導をしている私にとっても例外ではありません。
その人の身体面の課題を見つけた上で、「トレーニング」というツールをつかって解決しているわけですから。
この業界でも、お客さんがどのようなトレーニングをしていくかをプログラムを作る際に、
プログラムデザイン
という表現をします。
これがとても難しいです。
正直、これが絶対!という正解はないと思います。
正解は一つではないとも言えます。
先程、デザインとは
課題を発見し、その解決をすることだと書きました。
まず、トレーニングに興味を持った、または受けにきてくれた方に対しての課題を発見する必要があります。
痩せたいけど痩せられない
トレーニングしたいけど、やり方がわからない
競技でのパフォーマンスを上げたい
長年悩まされている腰痛を改善させたい
等々...
そういう目的を持った方に対する本当のところの課題はなんなのか?
そもそもトレーニングをすることで達成できるものなのか?
トレーニングで解決できる範囲はどこまでなのか?
そういったところを出来るだけ明確にしてから、トレーニングを始めるようにしています。
(それが体験の時間であり、入会してもらう事を目的としたフィットネスクラブとの差別化しているところでもあります。)
その人の課題を発見し、解決する仕事をしているという点では私もデザイナーです。
しかし、私は「トレーニング」というツールをつかってでしか、課題を解決する事ができません。
言い方を変えると、「トレーニング」というツールを有効に使えない場合の、課題をもってきた方に対しては依頼を受けない場合もあります。
「あなたの目的を達成する為にクリアするべき課題は、一見トレーニングが必要そうに見えて実はそうではない他のところへのアプローチが必要ですよ。」
てな感じです。
とは言え、現実にはクリアするべき課題に対してトレーニングが全く必要ない人はいない(相談しにこられた方の中で)ので、あとは費用対効果の話になってきます。
しかし、私のところでトレーニングをする事がベストではないという判断だった方にとっても、相談にくる前と後では状況が全く異なっているはずです。
トレーニングを初めてやろうとしている方の考え方はとても漠然としています。
しかし、相談の後は漠然さが消え、自分の課題がはっきりし今後とるべき行動が明確になっているはずです。
(本書では問いの質という表現をしていますが、この質を高める事がとても重要です。)
何となく運動しなきゃと思い、とりあえず家の近くのジムに行き、施設や料金の説明を受けて入会しトレーニング始めてみたものの自分の課題を明確にすることもないので結局続かない。という方は多いのではないかと思います。
本当に自分がするべきトレーニングや足りていない体力要素がわかっていないアスリートも多いはず。
つまり本当の課題が見えないまま、行動に移してしまっている状態です。
そうならないためにも、こちら側からするとその方が望んでいる目的に対してクリアにするべき課題をより明確になるようにアドバイスし、自分自身でやるべき事を考えてもらうように促すことが重要だなと思っています。
そんなことを、本書を読む事で整理する事が出来ました。
これからもより思考を深くし、時には思考を変え、「トレーニング」というツールを使いながら多くの方の課題に対して解決するべく「デザイン」していこうと思います。
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ちなみに本書で、石川さんは
5歳の時のとても暑い夏の日に、汗だくで家にきた郵便屋さんに氷水をあげたのが初めて自分が「デザイン」した経験だったと言っています。
喉が渇いている「課題」を発見し、
冷えた水を渡す事で「解決」しようと企てた。
デザインは気遣いであり、おもてなしということですね。
皆さんにやってもらっているきついトレーニングプログラムにも実は「気遣い」の要素も入っているんです。笑
そう、あれでも一応...
「気遣い」の要素がぬけたプログラム程、冷徹で容赦ないものはありません....
もう何年も前になりますが、ある番組でBEAMSの設楽さんが、
おしゃれとは、相手の気持ちがわかることです
と言っていたのを、当時は意味が分からなかったのですが何故かずっと覚えています。
おしゃれとかデザインとかって、そういうことなんでしょうね。
やっとそんなことがわかってきました。
そういう意味で、おしゃれでデザインができる人になりたいものです。
「HELLO,DESIGN 日本人とデザイン」
IDEO Tokyoの立ち上げに従事し、Design Directorとして活躍する石川俊祐さんの書籍ですが、私はこの方のことを詳しく知っているわけでも以前から注目していたわけでもありません。。。
なんとなく派手な黄色の本にひかれて読んでみただけだったのですが、結果としてとても勉強になりました。
石川さんは、デザインとはセンスがいい事やおしゃれな事を表す言葉ではなく、
課題の発見とその解決のことだと言っています。
日本ではデザインと聞くと、名詞として捉えがちで、そのため色やカタチをイメージする人が多いかもしれませんが、デザインを動詞として捉えると「設計する・企てる」といった意味があり、もともと「アイデアを考える」というニュアンスがあると言います。
そう捉えると、デザインという言葉は一部のクリエイティブな業種の人だけのものではなく、課題を解決しようとする全てのビジネスパーソンのものだというわけです。
これは、パーソナルトレーナーやS&Cコーチとしてトレーニング指導をしている私にとっても例外ではありません。
その人の身体面の課題を見つけた上で、「トレーニング」というツールをつかって解決しているわけですから。
この業界でも、お客さんがどのようなトレーニングをしていくかをプログラムを作る際に、
プログラムデザイン
という表現をします。
これがとても難しいです。
正直、これが絶対!という正解はないと思います。
正解は一つではないとも言えます。
先程、デザインとは
課題を発見し、その解決をすることだと書きました。
まず、トレーニングに興味を持った、または受けにきてくれた方に対しての課題を発見する必要があります。
痩せたいけど痩せられない
トレーニングしたいけど、やり方がわからない
競技でのパフォーマンスを上げたい
長年悩まされている腰痛を改善させたい
等々...
そういう目的を持った方に対する本当のところの課題はなんなのか?
そもそもトレーニングをすることで達成できるものなのか?
トレーニングで解決できる範囲はどこまでなのか?
そういったところを出来るだけ明確にしてから、トレーニングを始めるようにしています。
(それが体験の時間であり、入会してもらう事を目的としたフィットネスクラブとの差別化しているところでもあります。)
その人の課題を発見し、解決する仕事をしているという点では私もデザイナーです。
しかし、私は「トレーニング」というツールをつかってでしか、課題を解決する事ができません。
言い方を変えると、「トレーニング」というツールを有効に使えない場合の、課題をもってきた方に対しては依頼を受けない場合もあります。
「あなたの目的を達成する為にクリアするべき課題は、一見トレーニングが必要そうに見えて実はそうではない他のところへのアプローチが必要ですよ。」
てな感じです。
とは言え、現実にはクリアするべき課題に対してトレーニングが全く必要ない人はいない(相談しにこられた方の中で)ので、あとは費用対効果の話になってきます。
しかし、私のところでトレーニングをする事がベストではないという判断だった方にとっても、相談にくる前と後では状況が全く異なっているはずです。
トレーニングを初めてやろうとしている方の考え方はとても漠然としています。
しかし、相談の後は漠然さが消え、自分の課題がはっきりし今後とるべき行動が明確になっているはずです。
(本書では問いの質という表現をしていますが、この質を高める事がとても重要です。)
何となく運動しなきゃと思い、とりあえず家の近くのジムに行き、施設や料金の説明を受けて入会しトレーニング始めてみたものの自分の課題を明確にすることもないので結局続かない。という方は多いのではないかと思います。
本当に自分がするべきトレーニングや足りていない体力要素がわかっていないアスリートも多いはず。
つまり本当の課題が見えないまま、行動に移してしまっている状態です。
そうならないためにも、こちら側からするとその方が望んでいる目的に対してクリアにするべき課題をより明確になるようにアドバイスし、自分自身でやるべき事を考えてもらうように促すことが重要だなと思っています。
そんなことを、本書を読む事で整理する事が出来ました。
これからもより思考を深くし、時には思考を変え、「トレーニング」というツールを使いながら多くの方の課題に対して解決するべく「デザイン」していこうと思います。
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ちなみに本書で、石川さんは
5歳の時のとても暑い夏の日に、汗だくで家にきた郵便屋さんに氷水をあげたのが初めて自分が「デザイン」した経験だったと言っています。
喉が渇いている「課題」を発見し、
冷えた水を渡す事で「解決」しようと企てた。
デザインは気遣いであり、おもてなしということですね。
皆さんにやってもらっているきついトレーニングプログラムにも実は「気遣い」の要素も入っているんです。笑
そう、あれでも一応...
「気遣い」の要素がぬけたプログラム程、冷徹で容赦ないものはありません....
もう何年も前になりますが、ある番組でBEAMSの設楽さんが、
おしゃれとは、相手の気持ちがわかることです
と言っていたのを、当時は意味が分からなかったのですが何故かずっと覚えています。
おしゃれとかデザインとかって、そういうことなんでしょうね。
やっとそんなことがわかってきました。
そういう意味で、おしゃれでデザインができる人になりたいものです。